導入
日本は急速に高齢化が進んでいる国になっています。長寿社会の到来により、65歳以上の高齢者が全人口の約30%を占めるなど、その比率は年々増加している話を聞くようになって久しくありません。この高齢化現象は、経済、社会、さらには文化にも大きな影響を与えていますが、林業業界では、担い手の大幅な不足が深刻な問題になっています。
担い手の不足、人で不足とよく聞きますが、例えば、人口の10%が林業をしている世界では、1億人国家のうち1000万人が林業に従事していることになりますが、1億人国家が5000万人国家になった世界線では、500万人になります。
このように日本の人口が減っている世界では、今まで通りの活動をする限りは、必ず担い手人口は減少することになるので、この人口だけに焦点を当てただけの漠然な不安は意味がないと思います。
林業従事者が総人口に占める割合がどれくらい減っていることを知ることが、本当に人手が不足している現状を認識する上で必要ではないでしょうか。
1. 日本の総人口の推移:
日本の総人口は、20世紀半ばに大幅に増加しました。以下はおおまかな総人口の推移です。
- 1950年: 約8,300万人
- 1970年: 約1億400万人
- 1990年: 約1億2,300万人
- 2010年: 約1億2,800万人
- 2020年: 約1億2,600万人(人口減少が始まる)
2. 林業従事者の推移:
林業に従事する人口は、20世紀後半以降、大きく減少しています。戦後の日本では、経済成長や産業構造の変化に伴い、農業・林業・漁業などの第一次産業に従事する人が大幅に減少しました。
- 1950年: 約42万人
- 1970年: 約20万人
- 1990年: 約10万人
- 2010年: 約5万人
- 2020年: 約4万人
3. 割合の変化:
次に、林業従事者が総人口に占める割合の推移を見てみます。
- 1950年: 約0.5%(42万人/8,300万人)
- 1970年: 約0.2%(20万人/1億400万人)
- 1990年: 約0.08%(10万人/1億2,300万人)
- 2010年: 約0.04%(5万人/1億2,800万人)
- 2020年: 約0.03%(4万人/1億2,600万人)
4. 割合の変化の要因:
林業従事者の割合が減少している背景には、以下の要因があります。
- 経済構造の変化:日本は第二次産業(製造業)や第三次産業(サービス業)が大きく成長し、林業などの第一次産業の相対的な重要性が低下しました。
- 人口減少と高齢化:日本全体で人口が減少し、同時に林業従事者の高齢化が進み、若者が林業に参入することが少なくなっています。
- 技術革新と効率化:林業においても機械化や効率化が進んだことで、少人数でも作業が可能になったことも、従事者の減少に影響しています。
まとめ
林業従事者が総人口に占める割合は、人口の減少以上に低下していることが分かりました。林業業界における「人手不足だ」という声は、かなり深刻なものを受け止めます。現代社会は森林と距離を取りすぎているようにも思います。自然がもっと身近な社会になるように、林業従事者がもっと身近な職業になるように情報発信をしていきたいと思います。