田中淳夫『絶望の林業』を読んで思ったことを1つ。
この本で著者は
一時的に木材を生産して利益を得ても、木材資源が尽きたら事業は継続できない。木材供給はストップし、山村に人は住めなくなり、林業そのものが崩壊してしまう。防災・環境面でも同じである。山の土砂流出の防止に役立ったはずの樹木が、数年後には太くなりすぎてその重みで斜面崩壊の引き金になることもある。草は刈ってもまたすぐ生えてくるし、生息する動物も植生によって変化する。自然環境は 時間とともに遷移するから、常に管理し続けねば効果は持続できない。
そのように考えていくと、「理想の林業」とは林木を健全に育てて利益を得るほか、森林空間も有効に利用することで健康福祉や観光、そして生物多様性や防災などを両立させる林業だ。そして、いずれの機能も必ず持続的でなければならない。一時期、理想状態だったとしても森は時とともに変化するから、常に修正を加えながらその状態を維持していくことも条件と言えるだろう。それらは「できたらよい」ことではなく、基本的な事項だ。(田中淳夫『絶望の林業』より)
と述べている。
著者の言う「理想の林業」を実現するために求めれられることはただ木を切る林業ではない。健康福祉に活用できる心休まる森林にしていく林業であり、観光地として多くの人に魅力的であると思ってもらえる森林を作る林業であり、生物が多様性を取り戻すことのできる自然に近い森林に調整する林業であり、災害時に土砂崩れリスクの少なく、治水能力の高い森林にしておく林業である。
これから林業を始めて、初めは木を切ることで精一杯かもしれなが、一通りの技術と知識を得たあとは、実践に加えて、あらゆる側面から森林をメンテナンスできる人物になれるように多面的な知識を勉強しようと思う。もちろん林業を学び初めでも、芋づる式に学習するのもよい。
森林マネジメントを考えると常々、人間の寿命は短いと思う。自分が手を入れた森林が本領発揮するころには自分は死んでいるかもしれないから。それでもいい。なにか自分で考えて、実行できることは幸福である。しっかり未来を見据えて取り組みたい。
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